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よしなし雑記

加齢の坂道

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親戚のおとうさんが、娘さん家族と一緒に、
温泉旅行へ行って来たと、
お土産を貰った。

貰いながら、親戚のおかあさんと立ち話をすると、
行った先の温泉旅館が、あまりにも壮大に広くて、
お手洗いへ行くたび、
おとうさんは、何度も迷子になったと言った。

慣れない場所で疲労するのか、
ちょっと動けば、どこででもうたたねをするので、
おとうさんは、旅館の車椅子を何回も使わせて貰ったと言った。

「毎年、娘家族は、旅行に招いてくれるんですよ」と、
おとうさんが上機嫌で言うと、
おかあさんは「何言ってるの。冗談。
今年が初めてじゃないですか」と言った。

ちょっとだけ気まずくなったから、
「初めてのご招待でも、毎年っていう思い違えは、
双方ハッピーでいいじゃないですかぁ~」と私が言ったら、
「どうせ、どっちにしろ、すぐ忘れるんですから」と、おかあさんが言った。
旅行に行ったことすらも、忘れてしまうような、言い方だった。

とうの本人も、ふつうにしれっと、ふつうの苦笑していて。
「最近物忘れが酷くてねえ。
少しも覚えていられんのですよ」と言った。


家に戻って、貰ったお土産を食べながら
(炭酸せんべいと、土地銘菓のおまんじゅう)
家族にこの話を話したら、
「寂しいね」と言った。
強い口調でも、弱弱しい口調でもなく。
ただただ、静かに「寂しいね」と言った。

加齢の坂道は、
いったいどこの辺りから、始まるんだろう。
坂道は、上っているのか、下っているのか。
それすらも分からない。

私もいつか、坂道を歩く。




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