あたしにだけは分かること

家族と野暮用で出かけたときのこと。

用事の合間にサササッと食事が済むようにと、
お昼ごはんを食べに入った、簡易レストラン。

あたしの隣のテーブル席に、着かれたご夫婦一組。
60代くらいだと思う。
メニューを広げながら、
ふと着席されるそのご夫婦の、女性の顔が目に入った。
あたしは、ああと思った。
片側顔面痙攣の症状をお持ちな方だ、と。

その方の症状は、
あたしの思う限りで言うけど、
かなりお辛い状態ではないか。
そう思った。

右側の目が、ほとんど閉じられたままでらした。
ときおりぱっと、両目揃って開いたりしているご様子だったけど、
でも基本的には、もうほぼ右眼側が引きつっていて、
右眼は塞がれたままのようだった。

あたしは、ランチメニューを見ながら、
気持ちがその場の空間にとどまってしまった。

さぞかし、お辛いだろうな。。。

大きなお世話だけど、
あたしはそんな思いが浮かんで浮かんで、消えなかった。

あたしのそういうぼんやりした感じを見た家族が、
不思議そうに「どしたの?」と聞いて来たので、
あたしはそっと返答をした。
片側顔面痙攣の症状の方がいるの、と。
家族もたちまち「ああそうなの」と、小さくそっとつぶやいた。
家族内に、ささやかな沈黙が生まれた。
家族は、各々胸に秘めた思いがあるような顔を一瞬して、
また各々ランチメニューに目を向けていた。

あたしの座席からは、ちょうどその女性のお顔が見えた。
食事中、あたしは、だから、
何度かその方のお顔を見つめた。
あたしのかつての痙攣症状より、厳しいものを感じた。
でも、それらはすべて、どう感じるかは、
個人の感情の問題だ。
だけど、ただ言えることは、
お辛いだろうな、ということ。
あれだけ強い片側顔面痙攣の症状が有って、
平気で、何も気にも留めないでいられることは難しいと思う。

あたしはひとりで勝手に、寂しくなった。
悲しくなった。
この理不尽で意味のない、
回避しようのない病の症状に、腹が立った。
ひとの穏やかな気持ちをかき乱すだけの症状に、
心底な怒りを思い起こしていた。
でも、どうしようも出来ないんだけど。
それはあらゆる意味で、どうにも出来ないことだった。

片側顔面痙攣を発症してしまうことも、どうにも出来ない。
事前予防も出来ない。
言ってしまえば、
事後予防だって、出来ない。
痙攣はあるがままに、あるのだ。

寂しい。
そして、悲しい。
辛くて、嫌になる。

けど。
けども。
それをどうにか改善してくれる医師は、
どこかにいる。
命までは、幸いなことには、
この片側顔面痙攣では、どうこう及ばない。
だから。
もし、悩んでいる方がおられるなら、
どこかに相談してみては、と申し上げたい。
改善の余地はある。
と、あたしは信じて医療の手に助けを求めた。
その手を受け止めてくれる医師はいた。
確かに、いてくれた。
確かに、いてくれた。

家族はオーダーしたランチを食べ始めた。
あたしも食べ始める。
家族の会話は、お調子者ばかりだから楽しく愉快。
あたしもバカなことを言いながら、笑い合う。
ただ、
あたしは、あの女性の苦しみを、
あたしは、誰よりも分かる。
あたしにだけは分かることって、ある。
こと、この片側顔面痙攣につていは。
だって2度も頭蓋骨に穴を開けた手術をしてンだもの。
そう思いながら、食べた。

右眼をほとんど閉じたままの女性にも、
どうか気楽でのんきなときがありますように。
辛いばかりの時間でありませんように、と、
勝手に小さく思いながら食べた。



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2018-03-15 : 片側顔面痙攣のこと : コメント : 0 :
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lou.c

Author:lou.c
2013年10月、片側顔面痙攣で開頭手術を受けました。煩わしかった痙攣から解放された☆と思いきや、術後約1年数ヵ月後、また魔の痙攣が始まりました…
この症状について、さらには病というモノなどについて、さらにさらにはいろいろよしなにごとを書き綴りたいと思います。

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