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縁起を担ぐような気持ち。

用事で、外出したとき、タクシーに乗った。

バスがめずらしく時刻表通りに来て、
とっとと去ってしまってたから、しょうがない。
次のを待つのも面倒で。
滅多に乗らない、タクシーに乗った。

思えば。
あたしは、片側顔面痙攣で、病院に通院していたときは、
いつもタクシーに乗っていた。
いつも、だ。

初受診したときから始まって。
検査のとき。
検査結果の説明のとき。
入院を決めたとき。
「開頭手術をして頂こうと思います」って、
脳神経外科医に、申し出ていったとき。

入院する朝のときも、タクシー。
荷物を家族に持って貰って、病院に向かった。
退院する朝も、
病院の入り口につけてあるタクシーで帰宅をした。

術後経過観察で、
1ヶ月に1度の診察を受けていたときも、
片側顔面痙攣の再発を感じたときに、
再受診したときも、タクシー。

今では、あたしの中で、
タクシーに乗るときは、
どうしても、病院のことを思い出すようになった。

病院へ行く、ということは、ふつうじゃないことだ。
どこかが不良だから行く。
あるいは、誰かの体調不良の、お見舞いに行くとき。

気持ちがどうしても、フラットでないから、
ちゃちゃっと、タクシーに乗っちゃう。
バスを待ったり、電車を待ったり、あんまりしたくない。
ちゃっと病院に着きたいと思う。
そして、ちゃっと病院から遠ざかりたいと、思う。
きっぱり言えば、病院なんか、行きたい場所じゃない。
行ってもハッピーな病院は、
親族や知人のおうちに、新しいキラキラした命が誕生して、
その小さな命へ「はじめまして!こんにちは☆」と、
面会に行くときだけだ。
これだけが、この世の唯一の病院行きの、大ハッピーだ。

作家よしもとばなな氏が、
氏のエッセイの中で、
「若いころ、バイトに行くときに、タクシーに乗って行ってた」
とあった(たぶん。そう読んだ記憶がある;汗笑)
時給より高い交通費を使って、バイトに向かってたって。
そのときあたしは、十分若かったから、
「げげ、すごい。
やっぱお金持ちのお嬢さんは、感性が違うなあ」
なんて思ってた。
だって、タクシーに乗ってバイトになぜ向かうのかというと、
「車の中から、ぼんやり流れる街並みを
眺めるのが好きだったから」
てなことを、言われていたから。
やっぱ感受性豊かな人は違うなあ、と思うと同時に、
やっぱお金有る人って豪勢だよなあって。
そう思った記憶がある。

でも、今になってあたしにも、この感じが分かる。
ような、気がしてる。
お金を、昔も今も、そんな持ってないから、
タクシーに乗ることイコールすごく贅沢。
だから、もとからほんとにあんまり、使わないんだけど(苦笑)
それでも、今になって、あたしにも、
少しだけ、よしもと氏のそんな気持ちが、分かる気がする。

なーんにも考えていない。
何にも考えないまんま、街の景色が流れてくのを、見る。
タクシーの車中から、ただぼんやり、眺める。
それだけ。
片側顔面痙攣の関連で、病院に向かうとき、
本当に、あたしは、タクシーの中で、
何にも考えなかった。
何にも、だった。
それが、最適な行為だった。

その。
先日タクシーに乗ったとき、
はからずも、向かった方向が、
片側顔面痙攣の手術・入院をした先と同じだったから、
そんなこんなを、思い出したりしていた。

ぼーっと、車中から外を眺めているとき、
運転手さんが、声をかけて来た。
声と同時に、運転席から手が出て来た。
「これ、どうぞ」って。
何かと思えば、小さな<お守り>だった。

「この1週間だけ、
乗車して下さったお客さんに、お渡ししてるんですよ。
会社が、キャンペーンにってね。
用意してくれてるんです」

へえ、と思いながら中を見ると、
5円玉と御札が入っていた。

外袋はペラペラだし、
御札もただの紙っぺら。
だったけど。
だったけれど、
あたしは、うっかり、泣きそうになった。

「ちゃんとねえ、それ。
会社がご祈祷に行ってるものなんですよ。
どこの神社かは、知りませんけどね。
ま、どっか。
会社の近所にあるとこなんでしょうけどね」

運転手さんは、わははと笑って、そう言った。
そんなことは、どうだっていいの。
運転手さん。
この御札、あたしにくれて、ありがとう。
ほんとに。
うれしかった。
うっかり、こんなって言ったら悪いけど、
こんな、春の乗車サンキュウキャンペーンの、
おまけ御札なだけなのに、
あたしは、うっかり、その場で泣きそうになっていた。

どうもありがとうございます。
とても、うれしいです。

そう運転手さんに伝えたら、
運転手さんはまた、
会社が用意したもんなんですけどねー
キャンペーンなんですけどねーと言っていた。

縁起を担ぐような、気持ちになった。

貰ったこの御札入り<お守り>は、
それからずっと、あたしのお財布の中にある。




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2017-03-06 : 片側顔面痙攣のこと : コメント : 0 :
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プロフィール

lou.c

Author:lou.c
2013年10月、片側顔面痙攣で開頭手術を受けました。煩わしかった痙攣から解放された☆と思いきや、術後約1年数ヵ月後、また魔の痙攣が始まりました…
この症状について、さらには病というモノなどについて、さらにさらにはいろいろよしなにごとを書き綴りたいと思います。

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